時々また読みたいなと思う本、ジェイムズ・クリュスの『笑いを売った少年』です。
子供の頃に買ってもらった「世界名作図書館」という子供向けの文学全集に入っていた作品で、お気に入りで当時何度か読みました。→講談社(KodanSha)/世界の名作図書館 全52巻 1966-1970年
クリュス(1926-1997)は、ドイツの児童文学作家。国際アンデルセン大賞などを受賞し、ドイツではケストナー、エンデとともに代表的な作家です。
「世界名作図書館」は、子供向けに編集されているので、大人になってから森川弘子・訳、未知谷・刊の本を買って読みました。本もまだ本棚にあります。
いつかはもう一度読み返したいのですが、優先度という意味では低いのかな。今のところまだ再読しようという気にならなくて、置いたままになっています。
細かい部分は忘れてしまったのですが、お話の主人公ティムは、周りの人を巻き込んで明るくしてしまうような笑いを持っていました。ある時、謎の紳士との取引で、どんな賭けにも勝てる力と交換に、その笑いを売ってしまいます。
どんなにお金持ちになっても、好きなことが何でも叶えられても、笑おうとしてしかめっ面しか出てこない状態というのはつらいと思います。
笑いたい時に笑えないという経験をしたことがないので、実際にどうなのかはわかりませんが、想像しただけでもももどかしいと思います。
本当に大切なものは、失ってはじめて気がつくのですね。やがてティムは笑いがどんなに大切なものだったかに気がついて、それを取り戻そうとします。
内容としては、教訓めいたテーマではありますが、お話自体はまったくお説教くさいこともなく、楽しく読み進められたように記憶しています。
時間をみつけて、近いうちにもう一度読みたいなと思います。