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おばさんは電気炬燵で夢をみるのか?

夫が定年目前にリストラ。無給生活に突入したお気楽主婦日記。心豊かに暮らすために詩を読む生活はじめました。

詩集Fantasia:神話・仲津麻子

詩集Fantasia

10代から20代頃に書いていた詩を記録しておくことにしました。

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 当時興味を持っていた、オカルトティックな宇宙観の影響で書いた作品です。 

 

神話

 

          仲津麻子

 

濃いワインレッドの闇がすべてを覆いつくし 幾枚も重

ねられた花嫁のヴェールのように密やかにたちこめてい

る これから何かが起こりそうな そんな予感のするこ

の世のはじまり その頃世界はまだ 私達の言葉では表

現することのできない無限のなかに隠されていた

 

はてしない時が過ぎた 偶然のめぐりあわせから 水面

に落ちたたった一粒の木の実で湖が溢れるように 闇に

できた小さな歪みから変化がはじまった

 

ワインレッドの闇は急速に凝縮する 外周から中心へ

するすると吸い込まれるように萎んでゆき やがて一つ

の点に集まった 密度の高くなった一点の闇は途方もな

いエネルギーを持つことになる

 

こうして光が顕れた はじめは赤黒く鈍く 黄金色か

ら白金へ まばゆくひろがって世界を満たしていった

 

光は言うならば海であった

光の内からすべてが産み出されたのである

光は肥えた土であった

光に触れるものはみないのちを得て

生き生きと育ってゆくのだ

          (c)Asako Nakatsu