くきはの余生

リタイアしてようやくのんびり暮らせるようになりました。目指すは心豊かな生活。還暦目前で患った病気のこと、日々の暮らしや趣味のことなどを綴っています。

映画「舟を編む」を観た感想

映画『舟を編む』をAmazon ブライムビデオで見ました。

2013年石井裕也監督作品。原作は三浦しをん。2012年本屋大賞を受賞した作品です。

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主人公の馬締光也(まじめみつや)は、松田龍平、ヒロイン林香具矢(はやしかぐや)に宮崎あおい、監修の国語学者の松本朋祐・加藤剛、定年間際のベテラン編集者、荒木耕平・小林薫、先輩編集員の西岡正志・オダギリジョー等の出演です。

 原作は辞書の編集という地味なテーマを小説に描き、本屋大賞を受賞して話題になりました。当時読んでみたいと思いながら未だに果たせずないたところ、Amazonプライムビデオで映画をみつけたので見てみることにしました。さらに最近アニメ化もされたようです。

主人公馬締はその名通り不器用でマジメな青年。ベテラン編集者の荒木に見いだされて、辞書「大渡海( だいとかい)」編集部へ引き抜かれます。

出版社の花形はファッション誌や芸能雑誌で華やかなイメージがありますが、もともと編集者というのは縁の下の力持ち。原稿と活字を見比べながら延々と地道な作業を続けているものです。

辞書編集と言ったらその最たるもので、その作業を何十年も続けて行くだけの気力と体力、そして情熱がなければ続けられません。即金になる仕事ではありませんから、会社のお荷物になってしまうこともあります。

でも、良い辞書を持っている会社はそれが財産になり誇りでありステータスでもあります。そんな仕事に光を当てたという意味で、とても貴重な作品です。

馬締の恋愛については、原作ではもっと詳しく描かれていたのかもしれません。2時間余の映画で描くために、ややサラッとしているかなという印象でした。でも、馬締の香具矢への感情はもどかしいほどに純情で微笑ましかったです。

ふくふくした茶トラの猫が登場するのも猫好きにとっては目福でした。特に重要な役割を担っているわけではありませんでしたが、猫はただ居るだけで癒やしですね。

長い時間を辞書と共に過ごした人達の、言葉へのこだわりと生き方辿っていくと、すべては最後の場面に集約されているのだろうと感じました。苦しいことやつらかったこと、仕事を続ける喜びなど、激動の末に編集者たちが見たのは、静かで穏やかな海なのです。