くきはの余生

リタイアしてようやくのんびり暮らせるようになりました。目指すは心豊かな生活。還暦目前で患った病気のこと、日々の暮らしや趣味のことなどを綴っています。

感動・アルチュール ランボー

ランボーの「感動」(中原中也・訳)を読みました。

青空文庫に掲載されている『ランボオ詩集』です。→青空文庫図書カードNo47296 底本は中原中也全訳詩集(1990年講談社)

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ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー(1854-1891)。フランスの詩人です。

10代で詩を書きはじめ。20代には詩と決別したにも関わらず、後の芸術家に多大な影響を与えた天才児でした。

 

感 動

 

     アルチュール・ランボー (中原中也・訳)

 

私はゆかう、夏の青き宵は

麦穂簾(すね)刺す小径の上に、小草(をぐさ)を踏みに

夢想家・私は私の足に、爽々(すがすが)しさのつたふを覚え、

吹く風に思ふさま、私の頭をなぶらすだらう!

 

私は語りも、考えもしまい、だが

果てしなき愛は裡(うち)に、浮かびも来よう

私は往かう、遠くボヘミヤンのやう

天地の間を、女と伴れだつやう幸福に。

 

原題はSensation 感覚 ですが、中原中也は「感動」と訳しています。

ランボー15歳の頃の作品だそうで。若々しく自由な雰囲気の詩です。

 ランボーが育った環境は、家庭に寄りつかない軍人の父親と、厳格な母親と兄、妹だったそうで、その背景を知ってから読み返してみると、煙たい厳格な母親から自由になりたいと考えていたのかもしれないなと想像しました。

 夏の宵に麦の穂の茂る小径を歩き回り、開放感を感じている詩人。

実際の行動なのか、それとも、想像の中のことなのかわかりませんが、詩人の心は現状から解放されて広い世界をさまよい歩きたいと願っています。

 後に、商人として、兵士として世界各国をさまようことになる予兆的な詩とも思えます。

 今日の詩とは関係がないのですが、昔、サイトリーのランボーのCMが気に入ってました。

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